門田由貴子です。たまには、マジメなこと書いていいですか?
そう遠くない時期に「いわゆる保守的・伝統的な大手企業」で事業売却や倒産、大量解雇・大量リストラが相次ぐのではないか?
東芝やシャープの例は、氷山の一角。
似たような現象は、これから相次ぐだろう。
そう思わざるを得ない状況を、ここ最近で数多く見聞してきた。
私が見てきた実態は、日本企業の中のほんの数十社に過ぎない。
その立場から日本全体の産業トレンドが分かるわけではない。
とはいえ、業種が違ってもよく似たケースをあちこちの企業で散見するのである。
(非常にもどかしいが、守秘義務があるので詳細は語れない)
市場や顧客のニーズの変化に真剣に向きあわず、自社の都合、社内の都合でモノを考える「いわゆる一流企業」がなんと多いことか?
さらには、会社を支えてくれている従業員への配慮に欠け、人としての育成すらまともにしない。従業員を使い捨てにしている企業の実態も、ずいぶん見てきた。
大企業・一流企業ゆえの傲慢だ。
そういう企業は、当然、業績悪化するだろう。
いや、それよりも早く、内部崩壊していく。
実際に、学級崩壊ならぬ「職場崩壊」している悲惨な例も目にしてきた。
そもそもの発端は、企業の経営を内部昇格してきた「サラリーマン経営者」が担うことにあるようだ。
長らく私は、大企業の幹部や事業部門長の要請に応える形で、人材開発・組織開発を中心にコンサルティングの仕事に携わってきた。
時々、聞いて呆れてしまうのが、その「幹部の要請」だ。
人材開発や組織開発は、技術開発と同様に、その努力が成果として形に現れるまでに最低でも数年間は要する。
会社の未来の発展のために投資をしても、その成果が売上や利益につながる頃には、その投資を決意した幹部自身は既にリタイアしている。
せっかく大決断をして投資しても、自分の手柄にならない。
だから、そういうプロジェクトは、優先順位を後回しにする。
それが、サラリーマン経営者に特徴的な思考パターンだ。
サラリーマン経営者は、あくまでも雇われ経営者であり、本分はサラリーマンだ。
彼らにとって第一優先は我が身。
自分の任期のうちは、なんとしても失敗したくない。赤字を出したくない。
自分の花道を美しく飾るために、過去に行った投資を急いで回収し、未来の販売計画も前倒して、短期的な利益を確保するのに血眼になる。
歴代のサラリーマン経営者が、似たようなことを繰り返していったらどうなるか?
誰も、会社の遠い未来に向けた投資を行わない。
当然のように、会社は先細る。
こういう幹部たちを、社内の従業員は冷ややかに見ている。
本気で幹部をサポートしようなんて考えるわけがない。
こうして、企業の力量は徐々に失われ、未来に対する希望が見えなくなっていく。
そんな企業の様子を直観的に察するのが、入社したての若手社員たちだ。
「上司や先輩を見て、ああはなりたくないと思った」と言って辞めていく若者は、企業の本質を見ている。
これは、企業経営に限った話ではない。
個人としてキャリアを積み重ねていくときも同じだ。
長期的に自分が活躍しようと思うなら、社会のために役立つ人材になろうと、勉強し能力開発に取り組む努力が要る。
だが、それを面倒くさがって自己投資を怠れば、自らの未来が先細る。
未来に向けた長期的努力をしている人ほど、未来が明るく、希望が見える。
反対に、今だけに目を向けている人、自分の得だけを考えている人は、未来に何を希望として見出すのだろうか?
そして、同じことが国家経営にも言えるだろう。
目先の得(投票数や座席数)を獲るのか?
日本の長期的な国家運営を考えて、若者や未来に投資をするのか?
安易な投票とならないよう、各党のマニュフェストや各議員候補の発言にしっかりと耳を傾けたいと思うのだが。
まかり間違っても、サラリーマン志向の議員が大量当選しませんように…。
(これって、誰に願えばいいんだか?)
…。珍しくマジメなことを書いてしまったが、たぶん、こういう話は誰も読まないんだろうなぁ…。